熱物性ブログ ベテル ハドソン研究所

熱を使ったクラック・ボイドの非破壊検査。 薄膜・微小領域の最新熱伝導率測定方法。 熱と光でさまざまなニーズにお応えします。

熱物性ブログ ベテル ハドソン研究所 イメージ画像

熱物性の話題 / その他

熱設計や材料開発、熱特性評価の現場で頻繁に登場する「熱抵抗」

言葉の本質や具体的な計算方法、そして「熱伝導率」との違いについて、基礎から整理して解説します。ブログの解説記事や知識のアップデートにぜひお役立てください。

1. 熱抵抗とは?(基本概念)

熱抵抗とは、一言で言えば「熱の伝わりづらさ」を表す指標す。
電気回路における「電気抵抗(電流の流しにくさ)」の熱バージョンと考えると非常に理解しやすくなります。

  • 熱抵抗が大きい: 熱が伝わりにくい(断熱性能が高い)
  • 熱抵抗が小さい: 熱が伝わりやすい(放熱性能が高い)

物質に熱が流れるとき、必ずその流れを妨げる抵抗が存在します。この抵抗の大きさを定量的に表したものが熱抵抗です。

2. 熱抵抗の計算式と単位

熱抵抗は、対象とする物質の寸法(厚さ・面積)と、物質固有の物性値である「熱伝導率」によって決まります。

物質全体の熱抵抗 R

物質の厚さを D、熱伝導率を λ、熱が通過する面積(伝熱面積)を A とすると、熱抵抗 R は以下の式で定義されます。

R =
D
λ · A
  • D : 試料の厚さ (m)
  • λ : 熱伝導率 (W/(m・K))
  • A : 伝熱面積 (m2)
  • R : 熱抵抗 (K/W または ℃/W)

この式から分かるように、「厚さ D が厚くなるほど」、また「熱伝導率 λ が小さくなるほど」、熱抵抗 R は大きくなります。

3. 電気抵抗との比較(オームの法則のアナロジー)

熱の移動は、電気回路における電流の流れと全く同じ対応関係(アナロジー)で説明が可能です。熱伝導における関係式は「熱のオームの法則」とも呼ばれます。

温度差を ΔT、流れる熱量を Q とすると、以下の関係が成り立ちます。

ΔT = Q · R

電気回路のオームの法則(V = I · Re)と比較すると、各パラメータの対応は次の通りです。

項目 熱伝導回路 電気回路
流れるもの 熱量 Q (W) 電流 I (A)
駆動源(ポテンシャル差) 温度差 ΔT (K または ℃) 電圧 V (V)
流れを妨げるもの 熱抵抗 R (K/W) 電気抵抗 Re (Ω)
基本関係式 ΔT = Q · R V = I · Re

回路が直列に繋がっているか、並列に繋がっているかによる合成抵抗の計算方法も、電気回路と全く同じように計算することができます。

4. 熱伝導率との違い

混同しやすい「熱伝導率」と「熱抵抗」の違いは、「物質固有の値か、形状を含んだ値か」にあります。

  • 熱伝導率(λ): 物質そのものが持つ「熱の伝えやすさ」という固有の物性値。形や大きさには依存しません。
  • 熱抵抗(R): 熱伝導率に加えて、その物質の「厚さ D」や「面積 A」という形状(サイズ)を考慮した値
【例】
熱伝導率が非常に高い銅(伝わりやすい材料)であっても、極端に細くて長い棒にすれば、熱は伝わりにくくなります(=熱抵抗が大きくなる)。

5. 実務における重要性と応用例

熱抵抗の概念は、以下のような製品設計や材料評価の現場で極めて重要です。

  • 放熱設計(エレクトロニクス): CPUなどの半導体素子から発生した熱をヒートシンクへ効率よく逃がすため、接触面に使用するTIM(熱界面材料)の熱抵抗をいかに下げるかがカギとなります。
  • 断熱設計(建築・自動車): 住宅の壁や自動車の断熱材では、外部からの熱浸入を防ぐために、意図的に熱抵抗(熱貫流抵抗)の高い材料や構造が選定されます。

まとめ

熱抵抗は、形状やサイズを含めた「実際の熱の逃げにくさ・伝わりにくさ」を評価するための実用的な指標です。

熱伝導率 λ や厚さ D との関係、そして電気回路との類似性を頭に入れておくことで、熱移動のシミュレーションや測定データの解釈がよりスムーズになります。

熱抵抗の説明

お問い合わせはこちら 測定サービスの詳細はこちら

↑このページのトップヘ