熱流計法(Heat Flow Meter Method:HFM)とは
熱流計法(HFM:Heat Flow Meter Method)とは、試料の両面に温度差を与え、その際に試料を通過する熱流束を測定することで、 熱伝導率(Thermal Conductivity)を求める定常法の一つです。
主に断熱材や建材など、比較的低熱伝導率の材料評価に広く用いられています。
近年では熱流計の高性能化でTIMの測定にも用いられます。
測定原理
熱流計法では、試料を上下の加熱板・冷却板で挟み、一定の温度差 ΔT を与えます。
このとき、試料を通過する熱流束 q を測定することで、以下の関係式から熱伝導率 λ を算出します。
λ = (q × d) / ΔT
- λ:熱伝導率 [W/m・K]
- q:熱流束 [W/m²](熱流計で測定)
- d:試料厚さ [m]
- ΔT:試料両面の温度差 [K]
熱流束は、試料表面に設置された熱流センサー(Heat Flux Sensor)によって直接測定されます。
測定装置の構成
一般的な熱流計法装置は、以下の要素で構成されます。
- 温度制御プレート(ホットプレート/コールドプレート)
- 熱流センサー
- 温度センサー(熱電対など)
- 試料厚さ測定機構
- 制御・解析ソフトウェア
定常状態(熱流が時間的に安定した状態)で測定を行うことが重要です。
特徴とメリット
1. 実用性の高い定常法
定常状態での測定のため、実使用環境に近い熱伝導特性を評価可能です。
2. 測定が比較的容易
- 試料加工の自由度が高い
- 測定手順がシンプル
- 構造が簡単
3. 断熱材評価に最適、近年ではTIM向けも
低熱伝導率材料(例:グラスウール、発泡樹脂など)の測定に特に適しています。
近年では熱流センサーの高感度化でTIMを測定できる装置もあります。
注意点・制約
1. 測定時間が長い
定常状態に到達するまで時間がかかるため、測定スループットは低めです。
定常法共通の制約です。
2. 接触熱抵抗の影響
試料とプレート間の接触状態が悪いと、測定誤差(過小評価)の原因になります。
3. 高熱伝導材料には不向き
金属などの高熱伝導材料では、熱流の制御や精度確保が難しくなります。
主な適用分野
- 建築用断熱材(住宅・ビル)
- 自動車用断熱部材
- 冷蔵・冷凍機器の断熱設計
- 電子機器の断熱・遮熱評価
関連規格
- ISO 8301
- ASTM C518
- JIS A 1412
まとめ
熱流計法(HFM)は、実用的な熱伝導率測定手法であり、 「実環境に近い定常熱伝導特性」を把握できる点に大きな価値があります。
一方で、接触熱抵抗や測定時間といった実務上の課題もあるため、 用途に応じて他手法との使い分けが重要です。
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