試料形状/材質別の最適測定法ガイド(シート・バルク・グリス/金属・セラミックス・樹脂)

熱伝導率の測定では、試料の「材質」と「形状」によって最適な測定法が大きく変わります。 本記事では、金属・セラミックス、樹脂(複合材料含む)、低熱伝導樹脂、グリスといった代表的な材料群を対象に、形状(シート・バルク)別に適切な測定法を体系的に整理します。 測定法の原理や長所を踏まえて選定することで、測定誤差の低減や再現性向上につながります。

金属・セラミックス

■ シート試料 → 周期加熱法

金属やセラミックスのシート形状は熱拡散が速いため、高速温度応答で加熱点と検出点の距離が可変の非定常法が適しています。 従って、周期加熱法は高熱伝導のシート状試料の測定に高い適性があります。 面内だけでなく厚さ方向の測定が可能な装置も存在します。

■ バルク試料 → フラッシュ法、周期加熱法

バルク材ではフラッシュ法がポピュラーです。金属・セラミックスは熱拡散が速く、フラッシュ法との親和性が高いといえます。周期加熱法も同様に時間分解能が高いためバルク評価にも有効です。

樹脂(分散型複合材料を含む)

■ シート試料 → 周期加熱法

熱伝導フィラーを含む複合樹脂でも、シート形状であれば周期加熱法が適しています。

■ バルク試料 → フラッシュ法、周期加熱法、ホットディスク法、定常法、熱線法

樹脂バルク材は熱拡散が遅いため、複数の測定法が候補となります。
※分散型複合材料は、定常法、非定常法ともに測定可能ですが、フィラーの量が多い場合は定常法と非定常法で測定結果に乖離が出る場合があります。

  • フラッシュ法:非接触測定が可能。接触熱抵抗の影響を受けない。黒化処理は必要。レーザー方式よりもキセノン方式が適している。
  • 周期加熱法:非接触測定が可能。接触熱抵抗の影響を受けない。黒化処理は必要。
  • ホットディスク法:樹脂・複合体との相性が良く、バルクの平均値を測定しやすい。
  • 定常法:低熱伝導率領域で熱伝導率の定義に則った測定が可能。接触熱抵抗に注意が必要。
  • 熱線法:大きめサイズの樹脂に有効で、簡便に測定が可能。

樹脂(低熱伝導率材料)

■ バルク試料 → 定常法、熱線法

低熱伝導率の樹脂では、熱流が非常に遅いため、定常法や熱線法が適しています。周囲への熱リークを防ぐためガードヒーター付きの定常法が最適でしょう。 また、熱線法も低熱伝導率試料に向いています。

グリス(粘度を持つ液状試料)

■ 定常法、ホットディスク法、熱線法

グリスやフェーズチェンジマテリアル(PCM)のような半固体~液状試料では、試料厚さが一定になりにくく、固定治具の影響も大きいため、測定法の選定が非常に重要です。

  • 定常法:厚さを設定して測定します。ある程度の粘性があれば測定可能です。
  • ホットディスク法:袋に封入して熱伝導率を測定します。
  • 熱線法:専用のセルに封入して熱伝導率を測定します。


まとめ:材質 × 形状から最適測定法を選ぶ

熱伝導率測定は「万能な測定法」が存在せず、試料特性に応じた適切な手法の選定が不可欠です。 金属・セラミックス、樹脂、低熱伝導樹脂、グリスといった材質ごとに物性値や熱挙動が大きく異なるため、最も再現性と信頼性が高い手法を組み合わせて選定することが重要です。 測定条件の最適化や、冶具・サンプル調整のノウハウも結果に大きく影響します。

ベテルでは各種測定手法の特性を熟知し、試料特性に合わせた最適な測定戦略を提案しています。 測定法選定に迷われる場合は、お気軽にご相談ください。

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