熱伝導率(Thermal Conductivity)
単位:W/(m·K) — 物質内部での熱の伝わりやすさを示す物性値
定義と基本式
熱伝導率(記号:λ)は、温度差により発生する単位面積当たりの熱流量と温度勾配の関係を表す係数です。フーリエの法則で次のように記述されます。
q = -λ ∇T
(q:熱流束、∇T:温度勾配、λ:熱伝導率)
熱伝導率が大きい材料ほど、温度差を素早く解消し効率的に熱を輸送します。
材料別の特徴(概略)
代表的な材料群における熱伝導率の目安は以下の通りです(参考値、温度依存あり)。
- 金属(Cu, Al等):自由電子が熱輸送に寄与するため高い(おおむね100〜400 W/(m·K))。
- セラミックス:格子振動(フォノン)支配。材質により1〜200 W/(m·K)程度と幅がある。
- ポリマー・樹脂:非晶質・分子鎖によるフォノン散乱が多く低い(約0.1〜0.3 W/(m·K))。
- TIM材料(グリース、パッド):フィラーの種類・充填率・界面特性で大きく変動。
主な測定法
測定法は目的・試料形状により選定します。手法により得られる値の条件や前提が異なるため、使用環境に即した評価が必要です。
- GHP(Garded Hot plate, 定常法)法:定常熱流を与えて評価。断熱材など低熱伝導率材料に適する。
- HFM(Heat Flow Meter, 定常法)法:熱流センサーを用いた方法。実用測定法として普及している。
- フラッシュ法(Laser Flash Method):パルス加熱による温度応答から熱拡散率を測定し、比熱・密度を掛け合わせて熱伝導率を算出。固体・高熱伝導材料に有効。
- 周期加熱法(スポット周期放射測温法、3ω法、周期加熱サーモリフレクタンス法):周期加熱による温度応答から熱拡散率を測定し、比熱・密度を掛け合わせて熱伝導率を算出。固体・高熱伝導材料に有効。
注意点(評価時に留意すべき事項)
重要:熱伝導率は単なる"材料固有値"ではありません。測定条件や試料状態により値が変動します。
- 温度依存性(温度が変わるとλは変化する)
- 異方性(面内方向・厚み方向で異なる場合がある)
- フィラー配向・充填率・界面抵抗の影響(有効熱伝導率とよぶ場合があります。)
- 測定手法固有の前提条件(定常 vs 非定常など)
設計・評価での実務的な留意点
製品設計や評価では、カタログの代表値だけで判断せず、実使用条件に近い測定(温度、圧力、界面状態を再現)を行うことが推奨されます。特にTIMや複合材料では、薄膜や界面の熱抵抗が総合的な熱性能に大きく寄与します。
最終更新:2025年11月20日
