建築から電子機器、低温物流まで、熱を通しにくい材料の選定は信頼性と省エネに直結します。本稿では、室温近傍での代表的な有効熱伝導率(λ)を基準に、実務でよく使われる低熱伝導率材料をランキング形式で整理しました。用途別の選定ポイントも解説します。

目次

  • ランキング一覧(カテゴリ別)
  • 用途別の最適素材
  • 材料選定時の注意点
  • まとめ

1. 低熱伝導率材料ランキング(室温の代表値ベース)

以下は一般的に参照されるオーダー感です。実際のλは密度、含水率、温度、気圧、製品形状で変化します。

■ 極低レベル(0.001〜0.01 W/m·K)

順位材料代表的熱伝導率(室温)概要・用途
1シリカエアロゲル約 0.012 W/m·K(真空下で0.002前後)ナノ多孔質で極めて高断熱。建築・断熱パネル、電子機器の熱遮断。
2真空断熱材(VIP)0.003〜0.008 W/m·K真空による気体熱伝導遮断。冷蔵・保冷、建材で高性能断熱。

■ 超低レベル(0.01〜0.03 W/m·K)

順位材料代表的熱伝導率概要・用途
3PIRフォーム(ポリイソシアヌレート)約 0.02 W/m·K冷凍倉庫、サンドイッチパネル。難燃性を両立。
4フェノールフォーム約 0.02〜0.025 W/m·K不燃性・寸法安定性に優れた建築用断熱。
5ガラスウール(高性能)約 0.03 W/m·K建築断熱の標準素材。コストと性能のバランス良好。

■ 低レベル(0.03〜0.1 W/m·K)

材料群代表値(目安)用途
ロックウール0.035〜0.045建築・防火断熱
EPS(発泡スチロール)0.035〜0.045包装、建材
PEフォーム0.04〜0.05緩衝材、電子部品の断熱
発泡ウレタン(一般)0.04〜0.05住宅・冷凍保温

■ 中低レベル(0.1〜1 W/m·K)

材料代表値用途
エポキシ樹脂約 0.2 W/m·K封止材、筐体部材
ガラスエポキシ(FR-4)約 0.3〜0.4 W/m·Kプリント基板
エンジニアリングプラスチック(ナイロン、PC等)約 0.2〜0.3 W/m·K構造部材、絶縁部

2. 用途別の最適素材

用途最適素材
建築の最高性能断熱シリカエアロゲル、VIP
電子デバイスの熱遮断エアロゲルシート、PEフォーム、低λエポキシ
低温物流・保冷箱VIP、PIR、フェノールフォーム
軽量化が必須エアロゲル

3. 材料選定時の注意点

  • 実測値の重要性:カタログの代表値は参考値に過ぎません。密度・含水率・温度依存性を反映した実測が必須です。
  • 環境条件:真空や低温といった特殊環境では物性が大きく変わります。VIPは外装破損で性能劣化します。
  • 機械特性と加工性:断熱性能だけでなく強度、曲げ加工性、接着性も実装性評価で重要です。
  • 安全性・規格:耐燃性(不燃化等)や法規制、難燃性の要件を満たす材料を選定してください。
注:本文中の熱伝導率は室温付近の代表的なオーダーです。実装条件や計測法により測定値が大きく異なる場合があります。

4. まとめ

低熱伝導率材料の選定は、単なるλ値比較では不十分です。用途に応じて、密度・含水率・温度変動範囲・機械的性質・コストを総合評価したうえで決定することが重要です。電子機器の熱遮断や高性能建材など、目的に応じた最適材料を選ぶことで、信頼性向上と省エネ効果が期待できます。なお、これらの材料の測定には定常法や熱線法が適しております。

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