電気自動車や、航空機、衛星、ロケットなどに使われる炭素繊維強化プラスチックですが、正確な熱伝導率を把握することはとても重要です。
たとえば、電気自動車に使われる場合、暖房性能やバッテリーの熱マネジメントに熱伝導率の把握は欠かせません。暖房性能や熱マネジメントで電気の消費量が変わってくるため、航続距離に大きくかかわってきます
衛星やロケットなど宇宙で使われる場合も過酷な宇宙空間での耐熱性能を担保するためには、熱伝導率を把握する必要があります。
さて、炭素繊維強化プラスチックは皆さんご存知のように、織り込んだ炭素繊維に樹脂を含侵させて作るため、板状材料の厚み方向と面方向で大きく熱伝導率が違ってきます。このような、材料は一般的な熱伝導率測定装置では測定が容易ではありません。株式会社ベテルのサーモウェーブアナライザであれば、異方性材料の測定が可能なように設計されていますので、簡単正確に測定が可能です。実際の測定事例をご紹介します。
測定試料は板状のCFRP材料です。
サーモウェーブアナライザは100mm角の試料まで設置できますが、今回は50mm角にカットして測定しました。因みに本装置では、決まった形にカットする必要はなくΦ10mm以上のサイズがあれば測定が可能です。また、今回測定したCFRPの厚みは1mmです。
また、試料の設置も非常に簡単です。試料台に置くだけで測定が可能です。
サーモウェーブアナライザで測定と解析を行います。次の写真は測定画面及び解析画面です。
図5解析画面
測定結果です。今回の試料のように比較的熱伝導率が高く薄い試料の場合、この装置のような非定常法という測定法が用いられます。非定常法では、熱拡散率が直接測定されます。
厚み方向の熱拡散率2.25×10-7[m2/ s]
面内方向の熱拡散率5.06×10-6[m2/ s]
熱伝導率が必要な場合は、比熱と密度から計算して熱伝導率を求めます。今回は文献値を用いて熱伝導率を求めました。(出展:新編熱物性ハンドブック、p354)
厚み方向の熱伝導率0.34[W/m・K]
面内方向の熱伝導率7.6[W/m・K]
今後ますます産業的な重要性を増していくCFRPの熱伝導率をサーモウェーブアナライザで測定しました。
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