こんにちは。サーモマンです。
熱伝導率の測定法についてときどきご質問いただくのが、
定常法と非定常法の違いについてです。
定常法と非定常法で同じ材料を測定すると同じ熱伝導率になるのか?
というところが一番大きな疑問だと思います。
結論から言うと、同じになる場合と同じにならない場合があるということです。その理由は最後に書きます。
理由先に知りたい方は下の方にある【定常法と非定常法の測定結果は違うのか?】を読んでみて下さい。
まずは、原理的な違いから考えていきます。
【定常法と非定常法の原理的な違い】
熱伝導率を測定する方法には、
定常法と非定常法があります。
断熱材等建材の測定はこちらのほうが一般的です。
また、定常法の測定対象としては比較的熱伝導率の高いTIMも、
定常法で測定されることが多いと思います。
利点:試料サイズが小さく迅速に測定が可能である。
欠点:直接熱伝導率が求められない。
(熱伝導率の算出には比熱容量と密度が必要)
金属やセラミックスの測定はこちらのほうが一般的です。
グラファイトシートやダイヤモンドなどの熱伝導率が非常に高い材料も非定常法の守備範囲です。
定常法と非定常法(フラッシュ法、光交流法)の模式図↓
【定常法と非定常法の測定結果は違うのか?】
(1)均一な材料で接触熱抵抗の影響を受けない場合は測定値はあまり変わらないでしょう。但し、下記に注意が必要です。
・低熱伝導率試料の場合は定常法のほうが信頼できる場合が多いです。試料の熱抵抗が大きいので温度差が正確に測定しやすくなります。また、接触熱抵抗の影響も小さくて済みます。非定常法の場合はレーザーパルスなどで急激に加熱するので、試料を損傷しやすいのと、試料内で温度勾配が発生し結果熱伝導率が試料内で不均一な状態となります。
・逆に高熱伝導率試料の場合は非定常法のほうが信頼できる場合が多いです。高熱伝導材料の場合、熱が伝わる時間が非常に短いので時間と長さのみで計測できる非定常法のほうが有利です。定常法の場合は温度差の測定が困難なのと、接触熱抵抗の影響が発生します。
・試料の大きさと均質性の問題があります。一般的に定常法のほうが測定試料のサイズが大きくなります。試料がほぼ均質であれば問題ありませんが、場所によって異なると、試料の切り出し方で実際の熱伝導率が異なります。
(2)複合材料の場合は、異なる可能性が高いです。
・非定常法は基本的には均質材料の測定法です。均質材料の熱拡散率を計測することを前提に解析方法が成り立っています。複合材料を前提とした解析方法もありますが、適用範囲が決っていたり、十分に補正できない場合があります。
・定常法の場合は、実際の温度差や熱流束を測定していますので、複合材料であっても実質的に正しい測定結果が得られると考えられます。熱抵抗や厚みが定常法の測定可能範囲に入るのであれば定常法を選んだほうが良いでしょう。
【まとめ】
これらの測定方法はどちらが良いか悪いかということは無く、それぞれの測定方法にあった試料や材料があるということです。
初めての方には 違いが分かりにくいかもしれません。
迷ったらベテル、ハドソン研究所にご連絡ください。
ベテルであれば、定常法でも非定常法でも測定できます。
質問のみでも大歓迎です。
本記事は、
『熱伝導率の2つの測定方法。 「定常法」と「非定常法」のそれぞれの利点と欠点』
を再度編集したものです。
ご依頼・ご相談は、株式会社ベテル、お問い合わせフォームをご利用ください。
熱伝導率の測定法についてときどきご質問いただくのが、
定常法と非定常法の違いについてです。
定常法と非定常法で同じ材料を測定すると同じ熱伝導率になるのか?
というところが一番大きな疑問だと思います。
結論から言うと、同じになる場合と同じにならない場合があるということです。その理由は最後に書きます。
理由先に知りたい方は下の方にある【定常法と非定常法の測定結果は違うのか?】を読んでみて下さい。
まずは、原理的な違いから考えていきます。
【定常法と非定常法の原理的な違い】
熱伝導率を測定する方法には、
定常法と非定常法があります。
・定常法
被測定試料に定常的な温度勾配を与え熱伝導率を測定する方法。
上記ですと難しいので大雑把に簡単に言いますと、
試料の片方を高温にし、もう一方を低温にし、安定するまで待ち、
試料内の各点の温度と熱流量と試料の厚みを測定して熱伝導率を求めます。
利点:直接熱伝導率が求められる。
欠点:測定に比較的大きな試料が必要なことや測定に時間がかかる。
上記ですと難しいので大雑把に簡単に言いますと、
試料の片方を高温にし、もう一方を低温にし、安定するまで待ち、
試料内の各点の温度と熱流量と試料の厚みを測定して熱伝導率を求めます。
利点:直接熱伝導率が求められる。
欠点:測定に比較的大きな試料が必要なことや測定に時間がかかる。
断熱材等建材の測定はこちらのほうが一般的です。
また、定常法の測定対象としては比較的熱伝導率の高いTIMも、
定常法で測定されることが多いと思います。
・非定常法
被測定試料に過渡的な熱流エネルギーを与え、試料の温度応答から熱伝導率等を求める方法。
簡単に言いますと、試料の表面に時間変化するエネルギーを与え、
試料の裏面の温度変化を測定する方法です。
簡単に言いますと、試料の表面に時間変化するエネルギーを与え、
試料の裏面の温度変化を測定する方法です。
時間変化のさせ方でパルス加熱法、周期加熱法、ステップ加熱法等様々なバリエーションがあります。
フラッシュ法が最も普及しています。利点:試料サイズが小さく迅速に測定が可能である。
欠点:直接熱伝導率が求められない。
(熱伝導率の算出には比熱容量と密度が必要)
金属やセラミックスの測定はこちらのほうが一般的です。
グラファイトシートやダイヤモンドなどの熱伝導率が非常に高い材料も非定常法の守備範囲です。
定常法と非定常法(フラッシュ法、光交流法)の模式図↓
【定常法と非定常法の測定結果は違うのか?】
(1)均一な材料で接触熱抵抗の影響を受けない場合は測定値はあまり変わらないでしょう。但し、下記に注意が必要です。
・低熱伝導率試料の場合は定常法のほうが信頼できる場合が多いです。試料の熱抵抗が大きいので温度差が正確に測定しやすくなります。また、接触熱抵抗の影響も小さくて済みます。非定常法の場合はレーザーパルスなどで急激に加熱するので、試料を損傷しやすいのと、試料内で温度勾配が発生し結果熱伝導率が試料内で不均一な状態となります。
・逆に高熱伝導率試料の場合は非定常法のほうが信頼できる場合が多いです。高熱伝導材料の場合、熱が伝わる時間が非常に短いので時間と長さのみで計測できる非定常法のほうが有利です。定常法の場合は温度差の測定が困難なのと、接触熱抵抗の影響が発生します。
・試料の大きさと均質性の問題があります。一般的に定常法のほうが測定試料のサイズが大きくなります。試料がほぼ均質であれば問題ありませんが、場所によって異なると、試料の切り出し方で実際の熱伝導率が異なります。
(2)複合材料の場合は、異なる可能性が高いです。
・非定常法は基本的には均質材料の測定法です。均質材料の熱拡散率を計測することを前提に解析方法が成り立っています。複合材料を前提とした解析方法もありますが、適用範囲が決っていたり、十分に補正できない場合があります。
・定常法の場合は、実際の温度差や熱流束を測定していますので、複合材料であっても実質的に正しい測定結果が得られると考えられます。熱抵抗や厚みが定常法の測定可能範囲に入るのであれば定常法を選んだほうが良いでしょう。
【まとめ】
これらの測定方法はどちらが良いか悪いかということは無く、それぞれの測定方法にあった試料や材料があるということです。
初めての方には 違いが分かりにくいかもしれません。
迷ったらベテル、ハドソン研究所にご連絡ください。
ベテルであれば、定常法でも非定常法でも測定できます。
質問のみでも大歓迎です。
本記事は、
『熱伝導率の2つの測定方法。 「定常法」と「非定常法」のそれぞれの利点と欠点』
を再度編集したものです。
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