【はじめに】
LEDは消費電力が少ないのですが、発熱箇所が小さいので局所的には高い温度になります。
LEDは消費電力が少ないのですが、発熱箇所が小さいので局所的には高い温度になります。
最近見ることが少なくなってきた、電球は発熱箇所であるフィラメントの温度が1000℃くらいでも壊れません。そもそも高温になることで光るためです。
LEDの場合は熱にも弱いためおおよそ150℃くらいが限界だと思います。これは、半導体のジャンクション温度の限界によるものです。
このように、実は熱に弱いため、放熱対策はしっかりしなければなりません。
状況が許せば熱伝導率の高い金属で作れば良いのでしょうが、そうもいかない場合が多々あります。
例えば塩水の中で使う場合は電蝕などが起きるため金属は適さない場合があります。
また、樹脂のほうが射出成形ができるので大量生産に向くし、軽量なので適している場合もあります。
今回はそのような状況で樹脂を使いたいときにLEDの放熱設計を熱伝導率測定とシミュレーションで効率化した事例を紹介します。
【実験方法】
LEDの放熱設計をする場合にどんな樹脂を選ぶかが問題になります。射出成形の場合、普通の樹脂を選んでしまうと、熱伝導率が低いため、LEDの温度が上がってしまいます。
一方で、高熱伝導タイプの射出成形用樹脂は、熱伝導率が高ければ高いほど値段が高くなり成形性も低下します。
そこで、樹脂の熱伝導率を正確に把握したうえで、有限要素法シミュレーションと実験を行い、
最適な熱伝導率の樹脂を選択します。
シミュレーションと実験の両方を行うのは、実験の精度を高める為です。すべて実験してもいいのですが、毎回実験用の部材を作り実験しなければならないので製作コストと時間がかかりますが、かといってシミュレーションだけだと実際の温度上昇との乖離が発生します。そこで、シミュ―ションと実験を組み合わせることで実験の回数を減らしつつ実際に結果とシミュレーション結果を近づけます。
一般樹脂と高熱伝導性樹脂でハウジングを作成
一般樹脂は約0.2W/m・Kです。高熱伝導性樹脂は5~40W/m・Kを想定しています。
(2)シミュレーションを実施します。
(3)水中に試作機を沈めて各部の温度を計測する実験を実施します。
(3)水中に試作機を沈めて各部の温度を計測する実験を実施します。
(4)必要に応じて(2)と(3)を繰り返します。
【実験結果】
これらの実験から、最適なハウジングの樹脂は20W/m・Kのタイプが最適であることが分かりました。成形性や放熱性のバランスが良い高熱伝導性樹脂です。
【実験結果】
これらの実験から、最適なハウジングの樹脂は20W/m・Kのタイプが最適であることが分かりました。成形性や放熱性のバランスが良い高熱伝導性樹脂です。
次に性能を評価した結果を紹介します。
(1)赤外線カメラでの表面温度観察を行います。
一般樹脂(0.2W/m・K)は30分で最高温度が81.6℃に到達しました。
一方で、高熱伝導樹脂20W/m・Kは30分後でも最高温度が39℃、1時間たっても42.3℃
次にLED基板の温度推移をご紹介します。
一般樹脂(0.2W/m・K)の場合25分で140℃を超えました。
高熱伝導樹脂(20W/m・K)の場合120分経過しても60℃以下です。
熱伝導率の測定、シミュレーション、実験を組み合わせることで、