久しぶりのブログ更新になります。

今回は基本に帰って周期加熱法で重要な熱拡散長について考えてみたいと思います。

周期加熱法やフラッシュ法等の非定常法では、温度変化にかかる時間と距離の関係から熱拡散率を求めます。定常法と異なり、試料の温度が変化する様子を見て、熱拡散の時間を計測します。(定常法は温度を一定にしてから計測することが大きく異なる点です。)

熱が伝わる時間と距離の関係を見てみましょう。以下の図表をご覧ください。
熱が伝わる時間

肉眼の時間分解能はおおよそ0.1秒程度(10Hz)です。この間、熱はCuやSiO2の中を10mm或いは1mm程度伝わります。これはどのようなことを意味するかというと、少なくとも0.1秒程度の時間分解能で観察しないと10mm或いは1mm程度の距離を伝わる温度“変化”の様子は観察できないということです。このとき、温度検出の時間分解能が1秒以上であったなら、温度が変化したことはわかりますが、どのくらい時間がかかって変化したかはわかりません。
1μm程度のSiO2の温度変化の様子を観察したければ、さらに温度変化に要する時間は短くなり、時間分解能も1μ秒(1MHz)以下にしなければなりません。

小さな試料を測りたければ非定常法にしなければならない理由の一つはここにありませす。また、試料が小さくなればなるほど高速な温度変化を与えて、高時間分解能な測定を行わなければならないので、熱拡散率の測定は高度になります。

例えば、ベテルのサーマルマイクロスコープは1μ秒(1MHz)の温度変化を検出するため、金属の反射率が温度によって変化することを利用した温度測定法の、サーモリフレクタンス法を用いています。