皆さまお久しぶりです。
サーモマンです。
炭素繊維複合材料は樹脂と炭素繊維を複合させた材料で
鉄の4分の1の軽さで鉄の十倍の強度を持つと言われています。
既に航空機や特殊で高性能な自動車には使われるようになってきましたが、
製造工程が複雑で高コストなため広範囲の普及はこれからと言われています。
(炭素繊維だけではなく、セルロースナノファイバー、カーボンナノチューブ、
ガラス繊維などを含んだ材料も複合材料です。)
最近では炭素繊維を織って熱硬化性樹脂で固めるタイプの
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)だけでなく、
熱可塑性樹脂を用いプレス成型で生産性を向上させて
低コスト化したCFRTP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)の開発が
すすめられています。
これが実用化されればボディーやシャシーのほとんどが
CFRTPとなり大幅な軽量化が進むでしょう。
つまり、高級な自動車のみに使われているものを
大衆車にも使えるようになれば燃費の向上で、
大気汚染の削減や省エネルギー化に大きなインパクトを与えるでしょう。
しかしながら実用化に向けて大きな問題があります。
複合材料は、文字通り複数の材料から成るため、
作り方によって材料内の繊維の存在量や配向のムラが発生します。
このムラは航空機や自動車に使われる場合は材料の強度不足や
寿命の低下となって現れ安全性や寿命に大きな影響を与えます。
これらの材料の繊維の存在量や配向のムラを把握することは大変重要となります。
従来から各種の検査方法がありますが、それらは適用できるのでしょうか?
X線探傷:
樹脂と炭素繊維は元素として炭素を含むため、
X線で観察するとコントラストが付きにくいとされています。
観察分解能が高く視野が狭いため繊維の配向状態や
存在量の傾向を把握するためには時間がかかり、
大量生産の商品を観察するには不向きと言えます。
X線を利用するため安全性については難があります。
超音波探傷:
高感度で観察するためには水没の必要があり、
表面粗さに影響を受けやすいと言われています。
直接機械的強度を測る:
ダンベル試験片を作成して破壊検査を行わなければならないため
簡単な検査とはいえないでしょう。
レーザーと赤外線カメラを組み合わせた観察方法では熱で観察することから、
樹脂と炭素の熱伝導性は100倍以上違いがあるため、
コントラストがつけやすい観察であると言われています。
観察分解能は測定周波数や光学系の倍率で自由に変えられるため
詳細の観察も広視野の観察も容易です。
安全性はレーザー光を遮断すればよく、X線を利用した方法よりも高いと言えます。
ワーク表面はレーザーを吸収すれば良いため表面粗さの影響をうけません。
レーザーの照射と観察は大気中非接触で行われるため、水没の必要もありません。
従いまして、レーザーと赤外線カメラを組み合わせた観察方法は
炭素繊維複合材料の評価や検査に最適な手法です。
樹脂中の炭素繊維の配向状態可視化
(緑の部分の繊維が紙面に垂直に炭素繊維が配向している。)
観察周波数0.1Hz 観察周波数5Hz
CFRP観察時の周波数と観察領域の変化
炭素繊維複合材料の測定に熱を使った測定方法をお勧めする理由
理由1:樹脂と炭素の熱伝導性は100倍以上違いがあるためコントラストがつけやすい。
理由2:観察分解能は測定周波数や光学系の倍率で自由に変えられる。
理由3:安全性はX線を利用した方法よりも高い。
理由4:ワーク表面の粗さの影響をうけにくい。
理由5:レーザーの照射と観察は大気中非接触で行われるため、水没の必要がない。
こんな測定・観察にはこの装置がおすすめ
①板材の樹脂と炭素繊維の分布を観察したい。→サーモウェーブアナライザ
②ついでに熱伝導率も測定したい。→サーモウェーブアナライザ
③立体物の炭素繊維複合材料の熱の広がり方を観察したい。→サーマルイメージングスコープ
④複合材料内の炭素繊維の配向状態を数値化したい。→サーマルイメージングスコープ(開発中)
お問い合わせはこちらまでどうぞ。
サーモマン