大阪ラボのカトチャンです。

今回は、身の回りの物シリーズということで、
「スマートフォンの保護フィルム」の熱拡散率を測定したいと思います。

スマートフォン保護フィルム3種

3種類の保護フィルムを用意しました。
※ 画像左から、PET背面フィルム・PET液晶保護フィルム・ガラス液晶保護フィルム。

一般に市販されている「スマートフォンの保護フィルム」です。

どのフィルムも無色透明です。

ガラス液晶保護フィルム

このままの状態では、加熱レーザが透過してしまって熱拡散率測定ができませんので、
試料に黒化処理を施していきましょう。

黒化処理は、試料にグラファイトスプレーを吹き付けておこないます。
参考:http://blog.thermal-measurement.info/archives/52008454.html

フィルム表面がツルツルしていたので若干コツが必要でしたが、
なんとか無事に黒化できました。

これで測定準備完了です!


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では早速、熱拡散率を測定していきます。

熱拡散率測定には、サーモウェーブアナライザTAを使用しました。
http://www.bethel-thermal.jp/specification/01/index.html


さて、熱的に一番優れているフィルムはどれなんでしょうか!?

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熱拡散率測定が終了しました。
結果は・・・

測定試料 材質 試料厚み
[μm]
熱拡散率 [ ×10-6m2s-1 ]
垂直方向 水平方向
ガラス 液晶保護フィルム ガラス 485 0.20 0.96
PET 液晶保護フィルム  樹脂(PET) 120 0.16 0.50
PET 背面フィルム     120 0.16 0.67



PETフィルムとガラスフィルムを比較すると、
垂直・水平方向の両方で、ガラスフィルムの方が熱拡散率が高い
という結果になりました!

PET背面フィルムはおまけで測定したのですが、
PET液晶保護フィルムよりも熱的に良いようです。


また、どのフィルムも、
垂直方向より水平方向のほうが熱拡散率が高く、熱的に異方性がある
ことが確認できました。


では、どうしてこのような結果になったのか?
フィルムの製造方法に起因するのでしょうか?

おそらく、RtoR (ロール to ロール)で圧延しながら作る過程で
材料内の分子構造が横に伸ばされる方向に強く働いて・・・??? と予想。

まったくの想像なので、真偽のほどは不明です。 (-_-;)

■ R to R とは・・・
シート材料や電子部品などを2個のローラーで延ばしながら作る方法で、物を効率良く量産する手法の1つです。
参考:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060306/114143/(日経BP)

R2R
 (写真はイメージ)


いろいろ書きましたが、保護フィルムは使いやすい物が一番です!(キッパリ)
熱的なものはあまり、、いやたぶん、、、きっと重要ではないはずです。(下を向いて、小声)
という事で、身近にある物シリーズでした!


熱物性測定でご不明な点がありましたら、カトチャンまでお問い合わせ下さい!
http://www.bethel-thermal.jp/contact/index.html


(著:カトチャン)