大阪ラボのカトチャンです。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。


新年最初のブログでは、
「サーモウェーブアナライザTA」について、あらためて紹介していきます。
https://hrd-thermal.jp/apparatus/ta.html

知っている方は知っているが、まだまだ知られていない
ハドソン研究所の目玉製品 「熱物性測定装置 サーモウェーブアナライザTA」。
その名の通り、『熱物性(熱拡散率)』を測定する装置です。

サーモウェーブアナライザTA35

周期加熱放射測温法により、材料の『熱拡散率』を測定します。

■ 熱拡散率とは・・・
伝熱現象において、定常状態の温度勾配などを求めるときに用いられる物性値である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E5%BA%A6%E6%8B%A1%E6%95%A3%E7%8E%87(wiki)


サーモウェーブアナライザTA  ラインナップ

TA35 TA33 TA32 TA31
測定機能 測定対象 熱拡散率
測定範囲 0.1~1000 [×10-6m2s-1]
出力データ 周波数、距離、振幅、位相、厚さ [TXT形式]
測定モード 垂直方向 -
水平方向 -
分布測定 - - -
付属その他 温度変調ヒーター オプション オプション - -
ピント調整 AUTO AUTO 手動 手動
制御・解析ソフトウェア
PC

機能を絞りこんだTA31/32から機能盛りだくさんのTA35まで
全部で4つのラインナップがありますが、
今回は最上位機種である「TA35」のご紹介をしていきます。

TA35の大きな特徴は3つです。
  1. サンプル形状の自由度が高い。
  2. 異方性のあるサンプルが測定できる。
  3. 局所的なバラつきが見える。


1. サンプル形状の自由度が高い。


まずは、TA35の試料台の様子からお見せしましょう。
TA試料台_サンプル設置前
※ 測定サンプルは、まだ設置されていません。

試料台の真ん中にリングが見えますね?
取り外した状態のものがこちらです。↓↓↓
試料台リング
リング中央には、穴が開いています。
このリング上にサンプルを置けば試料設置完了です。

穴の中央部に試料の測定したい点がかかっていれば、設置OKです。
試料設置後の状態 ↓↓↓
試料台_試料設置後


■ これは、OK!
試料設置1
※ 似てるけど海苔煎餅じゃありません!

■ こちらも、穴の中心部に試料がかかっているのでOK!
試料設置2


小さなサンプルを測定したい人のために、穴径を小さくしたバージョンもあります。
一番右の最も穴径が小さいリングが、小さい試料専用です。
試料台リング3種
穴径は、左からφ20mm・φ10mm・φ5mm。
通常は、端面の影響を避けるために、穴径φ20mmのリングを使用しています。

試料台リングの中央にかかるように試料が載せられれば良いので、
試料加工の手間が必要なく、準備がとても楽です。
(実際には、端面の影響を考慮する必要がありますが。)



2. 異方性のあるサンプルが測定できる。


一般的な熱物性測定装置は、試料に対して垂直(Z)方向のみを測定するのが一般的です。
(レーザーフラッシュ法とかですね。)
または水平(X)方向だけという装置もあります。

対して、サーモウェーブアナライザTA35は、
垂直(Z)方向と水平(XY)方向の両方向の測定が可能です。

XYZ方向

方向を変えた連続測定が可能なので、セットしたら後は待つだけです。
測定に手間がかかりません。
加えて、同じ試料でXYZ方向が測定できるので、別々に試料を用意する必要がなく、
試料の用意にかかる手間を半分で済ませることができます。

なので、異方性材料(例えばグラファイトシートやTIM材など)を評価したい方には、
非常に有効な測定装置といえるかと思います。
異方性がありそうなサンプルは、まずは一度測定してみる事をお勧めします!



3. 局所的なバラつきが見える。


サーモウェーブアナライザTA35は、マッピング測定ができます!

垂直(Z)方向の連続測定を繰り返すことで、分布の評価をするのですが、
何故それが出来るのかというと、
「測定する際の加熱・検出領域が非常に局所的」 だからです!
(1点の測定領域は、φ500μm程度です。)

なので、サンプル内のバラつきを評価することが出来ます。

最近は、熱伝導を高めるために樹脂にフィラーを混ぜ込んだ材料が増えています。
材料を機械的に均一に混ぜたと思っていても、実は熱的に均一じゃないこともあります。
材料・配向・製法によって、熱的には均一になったり、ならなかったりします。

実際に作った時に、どのぐらいサンプル内でバラつきがあるのか?
目で確認できたら良いのに・・・ と思ったこと、ありませんか?

サーモウェーブアナライザTA35で評価すると、こんな画面で確認できます!
砥石ディスクの熱拡散率マップ

よく分からないという方は、カトチャンまでご連絡下さい!
訪問して説明をさせて頂きます。
https://hrd-thermal.jp/contact/


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と、ここまで説明しましたが、ちょっと良いことばかり書きすぎましたので、
測定ができないサンプルも一緒に挙げておきます。
  • 厚すぎるサンプル
    サンプルの材質と測定方向によって、測定可能な厚みが変わります。

  • 緻密な個体じゃないサンプル
    これは、発泡体のようなサンプルです。
    空気層が多く、熱拡散率測定ができません。
  • 熱伝導率が高く、φ10mmより小さいサンプル
    小さすぎて測定台に置けません。
    また、熱伝導率が高く、端面の影響を受けるため、そもそも結果が出ません。
以上が測定できないサンプルです。


測定できないサンプルに当てはまるかもしれない、という方でも、
あきらめずにご相談ください。
別の測定の提案や、測定可能にするための提案をさせていただきます。


こんな測定がしたい。こういう風に測定出来ないか?
というご希望・提案・質問でも何でも結構です!
まずは、わたくし「カトちゃん」まで、お問い合わせ下さい!
https://hrd-thermal.jp/contact/


(著:カトチャン)