こんにちは、アワノッチです。

7月に出展した「テクノフロンティア2014」で、
当社ブースに足を運んでいただいたお客様、本当にありがとうございました。

次は、「エヌプラス2014」(9/17~19)に出展予定です。
熱物性測定に興味のある方は、ぜひ当社ブースにお立ち寄りください。

さて、私は普段からサーマルマイクロスコープTM3の測定を担当していますので、
展示会でも、TM3について説明をすることが多いです。

そのときに、
「サーマルマイクロスコープTM3は、最終的な結果として『熱浸透率』を出力します。」
と説明するのですが、大抵の場合は
「『熱浸透率』って何??」 という話になります。


◇ 熱浸透率ってなに?
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「物が他の物と接触しているときに熱を奪い取る力」 を意味します。

たとえば、寒い日に金属を触ったときに冷たく感じるのは、
熱浸透率の大きな「金属」に、熱を奪われているからです。

一方、木製の物やプラスチック製品を触っても、金属ほど冷たく感じないのは、
「木」や「プラスチック」の熱浸透率が、金属よりも小さいからです。

熱浸透率の高いものほど、手で触れた時に冷たく感じるということです。



◇ 熱浸透率を他の物性値へ換算
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お客様のほとんどは『熱伝導率』の測定を希望されますが、
『熱浸透率』、『比熱』、『密度』がわかれば、
『熱伝導率』や『熱拡散率』を計算することができます。

熱物性値の換算


◇ 熱浸透率の測定原理
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他によく質問されるのが、熱浸透率の「測定原理」です。

サーマルマイクロスコープTM3での、熱浸透率測定の手順は以下の通りです。

1.試料表面にMo膜を成膜します。
2.加熱レーザでMo膜を周期加熱します。
3.検出レーザを、加熱レーザと同軸に照射します。
  Moの反射率は温度により変化する性質があるので、
  加熱レーザと同軸に照射した検出レーザの強度変化は周期的になります。
4.加熱レーザの波形の位相と検出レーザの反射波形の位相の差から、
  熱浸透率を算出します。


サーマルマイクロスコープの測定原理

熱浸透率が大きい試料の場合、
Mo膜の熱を多く奪い取るので、Mo膜の温度変化が少なくなります。
すると、加熱レーザの位相と検出レーザの反射波形の位相の差が小さくなります。
逆に熱浸透率が小さい試料の場合は、位相の差が大きくなります。


◇ 最小分解能はなんと3μm!
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最後に少し自慢させていただくと、
サーマルマイクロスコープTM3でおこなう、分解能3μmという微小領域の測定は、
今のところ他の装置ではできません。

微小領域を測定したい方の、一番の悩みどころは「分解能」かと思います。
お悩みを解決したい方は、ぜひ一度ベテルにご相談ください。

(著:アワノッチ)