こんにちは。テツです。

梅雨の季節は、どうしても気分が晴れません。
最近は突然の雨にびしょ濡れになることもしばしば、梅雨明けが待ち遠しい。

さて、今回はちょっと気になった試料があったので測定してみました。
それはデザインの時に色や表面処理の参考にする標準サンプルです。

「JIDA スタンダードサンプル」 というもので、
今回はアルミのサンプルの中から数点選んで、熱物性の測定をします。

al_sample


熱物性測定に使用した装置は、サーモウェーブアナライザTA3
http://www.bethel-thermal.jp/specification/01/index.html

測定するアルミニウム試料は4つ(黒化の有無を含めて5試料)

1) 無処理(黒化あり)
2) 無処理(黒化なし)
3) アルマイト(薄いグレー)
4) アルマイト(濃いグレー)
5) アルマイト(金)

al_sample1-2
al_sample3-4
al_sample5

測定条件を決め、いざ測定。
※裏面が粘着層になっているため、加熱面の違いによる比較となり、測定値は参照値です。

1)
まず無処理のアルミ板を黒化(グラファイトスプレー)した試料を測定。
当然ですが、十分な信号振幅が得られました。
振幅は22.8[mV]、熱拡散率は83.4 [×10-6m2s-1]

2)
次に無処理のアルミ板を黒化せずに測定。
当然ですが、信号振幅が小さくなります。
振幅は6.7[mV]、熱拡散率は89.7 [×10-6m2s-1]

3)
次にアルマイト(薄いグレー)処理の試料を測定。
画像では見難いですが、着色されています。
やはり、信号振幅は小さいです。
振幅は8[mV]、熱拡散率は86.3 [×10-6m2s-1]

4)
次にアルマイト(濃いグレー)処理の試料を測定。
ほとんど黒色のアルマイトです。
信号振幅は思ったほど大きくなりません。
振幅は9.7[mV]、熱拡散率は85.7 [×10-6m2s-1]

5)
最後にアルマイト(金)処理の試料を測定。
信号振幅は無処理(黒化なし)よりは多少大きいですが、
処理を施した試料の中では一番小さい値となりました。
振幅は7.8[mV]、熱拡散率は85.2 [×10-6m2s-1]


表にまとめると・・・
測定試料 黒化処理 振幅
[mV]
熱拡散率
[×10-6m2s-1]
1) 無処理 あり 22.8 83.4
2) 無処理 なし 6.7 89.7
3) アルマイト(薄いグレー) なし 8.0 86.3
4) アルマイト(濃いグレー) なし 9.7 85.7
5) アルマイト(金) なし 7.8 85.2


アルマイト(濃いグレー)は、もう少し振幅が大きくなると考えていましたが、
ほぼ予想通りの結果でした。
皆さんの予想はいかがでしたか?

必ずしも黒化をする必要はありませんが、
試料によっては、黒化を行ったほうが精度よく測定することができます。

お客様から熱物性の測定依頼をいただいた場合、
どのように表面処理をするべきかも考えて測定をおこないます。
不明点は、お問い合わせください。


今後も気になった試料を測定していきたいと思います。


(著:テツ)


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