こんにちは。
大阪赴任の準備で、アップアップしているカトちゃんです。


今回は、前回の記事
「熱拡散率の測定 ~身近なモノの熱物性を知ろう① スマートフォン編~」
http://blog.thermal-measurement.info/archives/52029999.html
に引き続き、スマートフォンのカバーの熱拡散率測定をしました!

前回の測定は、残念ながら失敗してしまいました。

失敗の原因は、試料が厚すぎたこと。
(その時の試料厚みは、1.073mmでした。)

当初から、うすうす測定できないことはわかっていましたが、
「チャレンジして失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。」
という本田宗一郎さんの名言を心のよりどころに、
出来ないことにもチャレンジしなければ! と、敢えてチャレンジした結果でした。


今回はリベンジということで、前回測定できなかった試料に再チャレンジします。
カトちゃんは諦めません!

まずは、試料の厚みを薄くする作業からスタート。

① スマートフォンのカバーを、一部切り抜きます。

スマートフォン


② 厚みを薄くするために、紙ヤスリを使って表面を削っていきます。

スマートフォン_研磨中

地道な作業です...



スマートフォンの切り出し試料

大分薄くなりました。
試料厚みは、0.775mmです。

せっかくなので、ここで1回、熱拡散率測定をします。



NewTA3 熱拡散率を測定中。。。

※使用した装置は、サーモウェーブアナライザTAです。




測定結果が出ました。
―――――――――――――――
<熱拡散率>
◇ 厚さ方向: 0.1 ×10-6m2s-1
◇ 面内方向: 0.2 ×10-6m2s-1
―――――――――――――――
とりあえず、測定はできました!
・・・が、信号がふらついています。
まだまだ正確な測定ができているとは言えません。

信号を安定させるためには、もっと試料を薄く加工する必要があります。
再度、紙ヤスリを使って、試料を薄く削っていきます。


スマートフォン_研磨中( 作業中... )




試料厚みが、0.5mmになりました。
これくらいの厚みなら、安定した測定が出来るはずです。




NewTA3 熱拡散率を測定中。。。




測定結果が出ました!
―――――――――――――――
<熱拡散率>
◇ 厚さ方向: 0.2 ×10-6m2s-1
◇ 面内方向: 0.2 ×10-6m2s-1
―――――――――――――――
今度は、安定した信号を得る事ができました。

熱拡散率が低すぎるために、参考値にはなりましたが、
熱物性評価には十分に使えます。

今回の測定は、おおむね成功したと言えるでしょう。



■ 参考までに。
サーモウェーブアナライザTAの「測定可能な試料の厚み」です。

測定可能な試料厚み範囲
(クリックすると、拡大表示されます)

上記資料「測定可能な試料の厚み」の範囲外の試料を測定する場合は、
たとえ安定した信号が取得できたとしても、
得られた測定値の取扱いには、注意が必要です。

注意は必要ですが、熱物性を評価する上で参考値として利用することは、
十分に有効です。

また、どうしても試料を加工したくない、厚みの調整が非常に困難、という場合でも、
試料の「耐熱性」や「異方性」によっては、測定可能な厚みの範囲が変動することがあります。

あきらめてしまわずに、一度ご相談ください。
http://www.bethel-thermal.jp/contact/index.html



   □■□ お知らせ □■□

最初に少し触れましたが、
この度めでたく、『ハドソン研究所 大阪ラボ』を開設することになりました。
場所は、新大阪にほど近い「江坂」です。
(後日、詳しくご紹介します。)
そして、記念すべき『大阪ラボ』の最初の赴任者は、私カトちゃんに決定です!

これまで以上に、関西方面のお客様へきめ細かな対応をさせていただきます。
大阪ラボにも、サーモウェーブアナライザTAを実機展示しますので、
興味のある方は、ご一報ください。
カトちゃんが、精一杯対応させていただきます。


(著:カトちゃん)