明けましておめでとうございます。
新年1発目はノグッチャンの担当です。

みなさん、年末年始は有意義にすごせたでしょうか?

私は・・・
「食う・寝る・遊ぶ」で終わってしまいました。
年始早々、反省しております。



さて昨年の続きになりますが
『熱拡散率の測定において、黒化膜があたえる影響』
について、検証していきましょう!

用意した試料は、以下の4種類。
―――――――――――――――――――
  材料名      熱拡散率 [×10-6m2s-1]
―――――――――――――――――――
 銅(Cu)             117
  タンタル(Ta)         24.6
  SUS              4.05
  ホウケイ酸ガラス(Pyrex)  0.6
―――――――――――――――――――

銅(Cu)とタンタル(Ta)についての検証は終わりましたね。

<参考>
銅(Cu) http://blog.thermal-measurement.info/archives/52008454.html
タンタル(Ta) http://blog.thermal-measurement.info/archives/52023450.html


次は、SUSの黒化膜の影響を調べていきたいと思います。

では、実験を始めましょう。
今回使用するSUSの試料厚みは、100μmです。

このSUSを黒化していきます。
SUS-1

下の画像は黒化後のSUS。
SUS-2


熱拡散率の測定をしてみましょう。
※ いつものように、熱拡散率の測定にはサーモウェーブアナライザTA3を使用しました。


測定してみると、
熱拡散率:4.00 [×10-6m2s-1](3回平均)

文献値に比べると1.2%程度低いですが、測定誤差の範囲内でしょう。



ここからは前回と同じ作業です。
地道に、
黒化 ⇒ 熱拡散率の測定 ⇒ 黒化 ⇒ 熱拡散率の測定 ・・・・・・・・と。


またあの作業か
と思った矢先に、アノ言葉が頭によぎりました。

『熱拡散率が低くなるほど、黒化膜の影響は小さくなります』


ということは
黒化膜をかなり厚めに塗らないと、影響が出ないんじゃないか?
これは長期戦かっ!

・・・と考えているとやる気を無くしそうなので、とにかくやってみましょう。



SUS-3





――― 実験中 ―――




測定結果は・・・

黒化膜が約1μmのときに、熱拡散率:4.00 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-1.2%

黒化膜が約2μmのときに、熱拡散率:4.02 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-0.7%

黒化膜が約3μmのときに、熱拡散率:3.99 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-1.5%

黒化膜が約4μmのときに、熱拡散率:3.99 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-1.5%


ん~、あまり変化が見られず。
このままじゃ長期戦に・・・ってことで、黒化膜の間隔を倍にします。

SUS-4
 ↑ 冗談です。真似しないでください。


悪ふざけはやめて実験再開です。


黒化膜が約6μmのときに、熱拡散率:3.98 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-1.7%

黒化膜が約8μmのときに、熱拡散率:3.86 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-4.7%


ここでようやく違いが見えてきましたね。
あともう少し♪



――― 継続して実験中 ―――



黒化膜が約10μmのときに、熱拡散率:3.78 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-6.7%

黒化膜が約12μmのときに、熱拡散率:3.56 [×10-6m2s-1](3回平均)
文献値との差:約-12.1%

文献値から、10%以上も低くなってしまいました。
もう限界ですね。


kokka_netsu



上記結果から
SUSは厚さの10%を超えたあたりから、黒化膜で10%以上の影響が出てくることが分かりました。

『「熱拡散率が低くなるほど、黒化膜の影響は小さくなります』
も実証出来ているし、実験成功です。

ということで
今回の検証はここまで。

後日、最後の試料(ホウケイ酸ガラスPyrex)の検証をしていきたいと思います。


今年もよろしくお願いいたします。

以上


(著:ノグッチャン)