こんにちは。大阪ラボのカトチャンです。

某展示会でこんなカレンダーをいただきました。
カレンダー_全体図

金属プレート製です。


測定対象という観点から改めて見てみると結構面白いので、
今回はこの金属製のカレンダーを、
「欠陥のある金属プレート」と仮定して、熱物性の分布測定をしてみました。

絵が描かれている線が溝になっているので、溝部分を欠陥とみなします。


以下の部分を測定したいと思います。

測定個所


表面からは、カボチャの絵がはっきり見えますが、
ウラ側からは見えません。

測定個所(ウラ面)


いつものように、グラファイトスプレーで黒化処理をしてから
熱物性の分布測定をおこないます。
黒化後



この測定の目的は、通常ですと以下の2つ
1.溝部分を欠陥と仮定した「欠陥検査」
2.試料自体の熱物性の「バラツキ評価」

なのですが・・・

それだけでは、いつもと変わり映えしないので
今回は測定間隔を変えて2回測定し、結果の見え方を比較したいと思います。

0.25 [mm] 間隔と、0.5 [mm] 間隔で測定します。

さて、
測定間隔を変えて測定すると、結果の見え方はどう変わるのでしょうか?


それでは測定します。
測定には、サーモウェーブアナライザTAを使用しました。
http://www.bethel-thermal.jp/specification/01/index.html




測定結果は・・・

■ 0.5 [mm] 間隔
0.5mmピッチでの熱物性の位相分布


■ 0.25 [mm] 間隔
0.25mmピッチでの熱物性の位相分布


左側の位相遅れの図を見ると、両方ともちゃんと測定できていますし、
試料のバラつきを視覚的に捉えることにも成功しています。

が、やはり 0.25 [mm] 間隔で測定した方が、違いがより鮮明にわかります。
欠陥部分(カボチャの絵)も、0.25 [mm] 間隔の方がしっかりと判別できます。



分かりやすくするために、拡大して並べてみました。

0.25mmピッチと0.5mmピッチの熱物性の位相分布の比較


上図は、位相遅れの分布図です。

※ 位相遅れの絶対値が小さいほど、熱拡散率が高くなります。
  上図では、赤に近い方が熱拡散率が高く、青に近い方が熱拡散率が低いと言えます。


今回の試料では、厚みにバラつきが無いところは同じ色で、
厚みの異なる欠陥部分(カボチャの絵)が違う色になっているのが
視覚的に見てとれたと思います。

このように、分布測定をおこなう際は、
測定する試料や目的によって、測定間隔を充分に検討する必要があります。


ここで
「最初から細かく測定すれば良いのでは・・・?」
と思われる方がいらっしゃると思います。

その通りなのですが、その分時間が掛かります。

分布測定は、測定箇所を変えながら厚さ方向の点測定を繰り返しておこなう測定です。

今回の測定例だと、測定した範囲は、20×20 [mm] なので、
測定点数は
 ◇ 0.25 [mm] 間隔の場合: 81×81点で、合計 6,561点
 ◇ 0.5 [mm] 間隔の場合: 41×41点で、合計 1,681点
になります。

単純計算すると、6,561/1,681=3.9 で、
0.25 [mm]  間隔で測定する場合には、
0.5 [mm] 間隔の 3.9倍の時間がかかる計算になります。

ですから、測定する試料と内容に適した「測定間隔の検討」が必要になるというわけです。


分布測定については、私が過去に書いた記事も参考にご覧ください。

「熱物性測定 ~ 狙った箇所をどのくらいピンポイントで測定できるか ~」
http://blog.thermal-measurement.info/archives/51997696.html


分布測定は、レーザーフラッシュ法では対応できないため、
当社へのお問い合わせが非常に多い人気メニューです。

バラつきのある試料を評価するのであれば、分布測定がおすすめです。


他にも熱物性測定に関することで、気になることがありましたら、
わたくし「カトちゃん」まで、何でもお問い合わせ下さい!

◇HRD大阪ラボ  TEL: 06-6155-5254 (カトチャン直通)
◇お問い合わせフォーム http://www.bethel-thermal.jp/contact/index.html

研究開発のお手伝いをさせていただきます!


(著:カトチャン)