こんにちは、アワノッチです。
先日熱物性シンポジウムに参加し、発表までしてきました。

前々日まで発表資料がまとまらない、
高熱が出てしまう、
9月に購入したばかりの新車をぶつける
などなど、数々のトラブルが相次いで起こったため
一時は発表が危ぶまれましたが、なんとか無事に発表を終えることができました。

JSTP発表




さて発表内容はというと、
『周期加熱放射測温法による高精度・高速熱拡散率解析法』

現在販売中のサーモウェーブアナライザTAの熱拡散率測定(面内方向)を
高精度化、高速化する方法を考えたという内容です。

サーモウェーブアナライザTA
http://www.bethel-thermal.jp/specification/01/index.html

数式にするとこんな感じです。

熱物性シンポジウム_解析方法




数式だと全く理解ができません。

現在、低熱拡散率の試料に対しては
低周波数で測定を行い、さらに複数の周波数で測定しなくてはいけないため、
1試料につき、30分以上かかります。

しかし、今回発表した方法であれば、
うまく設定すれば、1周波数だけの測定になるので、
非常に大雑把ですが、現行の方法と比較して
3分の1程度の時間になると考えられます。

さらに、解析はほぼ自動化されて、ユーザの負担は減りますし、
以下のように、高精度な結果が得られます。



■ 代表的試料の熱拡散率解析値と文献値
試料名 試料厚み
[μm]
加熱周波数
[Hz]
熱拡散率[×10-6m2s-1] 誤差
[%]
解析値 文献値
Ti 105 6 9.07 9.31 ▲2.5
Ta 104 6 25.2 25.0
0.8
Mo
292
14
54.6
54.1
0.9
Al
206
24
96.1
97.7
▲1.6
Cu
307
25
117
117
0
406
22
116
▲0.9
※ 測定精度 : ±5%以内 ⇒ ±2.5%以内
※ 測定時間 : 従来の約3分の1以下に



早く現行の装置に組み込みたいのですが、
異方性がある試料や低熱拡散率の試料に対しての検証がまだまだこれからなので、
実際に組み込まれるのは、まだ少し先になりそうです。


(著:アワノッチ)