どうも 最近、年齢を感じるノグッチャンです。
(まだ34歳なのですが・・・)

こないだ原因不明の腰痛に襲われ、
起き上がるのも、立ち上がるのも苦痛でした。

何か、特別なことをしたわけじゃないのに腰痛。
・・・歳を感じました。

あっ、今はだいぶ良くなりましたよ♪

さてさて、 前回出来なかった
ホウケイ酸ガラス(以下、Pyrex)の熱拡散率を測定したときに
黒化膜があたえる影響について、検証していきましょう!

の前におさらい。
用意した試料は、以下の4種類。

―――――――――――――――――――
  材料名      熱拡散率 [×10-6m2s-1]
―――――――――――――――――――
 銅(Cu)             117
  タンタル(Ta)         24.6
  SUS              4.05
  ホウケイ酸ガラス(Pyrex)  0.6
―――――――――――――――――――

銅(Cu)、タンタル(Ta)、SUSについての検証は終わりましたね。

<参考>
銅(Cu) http://blog.thermal-measurement.info/archives/52008454.html
タンタル(Ta) http://blog.thermal-measurement.info/archives/52023450.html
SUS http://blog.thermal-measurement.info/archives/52032727.html


次は Pyrex について、黒化膜の影響を調べていきたいと思います。

と思ったんですが、
弊社にある Pyrex が厚さ1mmのものしかない・・・

前回までの実験で分かる通り、
熱拡散率が低ければ黒化の影響は少なくなります。

仮に、1mmのPyrexで検証するとなると、どんだけ黒化膜を厚くすれば・・・・・・・

時間がいくらあっても検証が終わらなさそうなので、
近い熱拡散率の薄い試料で勘弁してください。

代用したのが、ポリカーボネート系の試料(厚さ120μm)です。
熱拡散率は0.15×10-6m2s-1くらいでしょうか。


では、実験を始めていきます。
試料を黒化していきます。

下記は、黒化後の試料画像。
ポリカーボネート系試料_黒化後



測定してみると・・・

なんとこんな結果になりました。

測定結果画面_透過


信号のお尻が上がってきてしまいました・・・
この現象はレーザの透過によるものです。

透明な材料だと特にレーザの透過が起こりやすいので、
もう少し厚めに黒化して、再度測定です。

測定結果画面_非透過

今回は大丈夫なようですね。
解析してみると、熱拡散率:0.147×10-6m2s-1

上記の熱拡散率に比べると、2%程度低いですが測定誤差範囲内でしょう。
※この熱拡散率を基準とします。

ここからはいつもの作業です。
黒化⇒測定⇒黒化⇒測定・・・・・・・・と。
地道な作業です。

前回の実験でもそうでしたが、
1μmずつ増やしたら時間が足りないので、
今回は5μmずつ黒化膜を増やしていきたいと思います。



― 実験中 ―



黒化膜が約5μmのときに
熱拡散率:0.147×10-6m2s-1
基準値との差:約0%

黒化膜が約10μmのときに
熱拡散率:0.143×10-6m2s-1
基準値との差:約-2%

黒化膜が約15μmのときに
熱拡散率:0.149×10-6m2s-1
基準値との差:約1%

黒化膜が約20μmのときに
熱拡散率:0.146×10-6m2s-1
基準値との差:約0%


さっぱりですね・・・

え~、途中省略します。

黒化膜が約45μmのときに
熱拡散率:0.153×10-6m2s-1
基準値との差:約4%

黒化膜が約50μmのときに
熱拡散率:0.157×10-6m2s-1
基準値との差:約7%

黒化膜が約55μmのときに
熱拡散率:0.165×10-6m2s-1
基準値との差:約12%

基準値から10%以上も高くなってしまいました。

もう限界ですね。

グラフに直すとこうなります。

熱拡散率と黒化膜の関係_ポリカーボネート系試料の場合



上記結果から、今回の試料は厚さの45%を超えたあたりから、
黒化膜で10%以上の影響が出てくることが分かりました。

「熱拡散率が低くなるほど、黒化膜の影響は小さくなります」 も
実証出来ているし、実験成功です。

ついでに言うと、前回までは黒化の影響で熱拡散率が低くなりましたが
今回は熱拡散率が高くなりました。

これは、黒化膜自体の熱拡散率が、
今回測定したポリカーボネート系試料よりも高い ということがあげられます。

熱拡散率の高い黒化膜の影響が膜厚が厚くなることで、
引っ張られたという現象だと解釈できるでしょう。

ということで、黒化膜の厚さによる熱拡散率の影響の検証はここまでになります。



(著:ノグッチャン)