ご無沙汰しています。ハドソン研究所の加藤こと “カトちゃん” です。
今回は、
『熱物性の異なる「積層材」の“熱伝導”を相対的に比較』
というお題で、2つの実験をおこないました。
「積層材」は、通常、熱伝導の異なる材料を重ねて作りますので、
接着の均質性によって、熱の伝わりが大きく変わってきます。
実験1では、点測定をおこない、測定点による値のバラツキを見てみます。
実験2では、分布測定をおこない、積層試料の接着の均質性を
熱伝導分布で相対的に比較します。
まずは、実験のために、模擬的に積層試料を自分で作成しました!
(クリックで拡大表示します。)
アルミテープは、某有名100均ショップで購入。
一般樹脂シートと熱伝導シートは、以前購入した物を流用しています。
<試料作成のポイント>
試料作成にあたって、一番気をつけたのは、「試料の厚みを揃える」ことです。
試料(熱伝導シート・一般樹脂シート)の厚みが違っていると、
測定結果を相対比較したときに、熱的な影響との分離が難しくなってしまいます。
今回は、熱伝導シート・一般樹脂シートともに、サイズを□30×0.25mmtで揃えました。
<参考>
試料調整の重要性については、
ベテルの熱ヒーロー「サーモマン」が、くわしく解説しています。
http://blog.thermal-measurement.info/archives/51954073.html
熱伝導率の公称スペックは、コチラ
―――――――――――――――――
◇ 熱伝導シート : 90[W/m・K]
◇ 一般樹脂シート : 0.1[W/m・K]
―――――――――――――――――
では、実験1から始めます。
測定箇所は・・・
上の各点A~Dにおいて、垂直(厚さ)方向の測定をおこないます。
※測定装置は、サーモウェーブアナライザTA3を使用。
※積層試料なので、今回の結果は、あくまでも目安(参考値)とします。
測定結果は・・・
若干ですが、差が出ました!
測定点によって、熱拡散率(目安)にバラツキがあることがわかります。
次は、実験2です。
分布測定をおこない、熱伝導の分布を相対的に比較します。
測定範囲は、下図のとおり。
違いが分かりやすいように、2試料をまたぐ範囲で測定をおこないます。
測定結果は・・・
左部(熱伝導シート)と、右部(一般樹脂シート)とでは、
値が大きく異なることが分かります。
また、同一試料の範囲内でも、バラツキを確認することができます。
原因としては、積層試料の接着の不均一性により、熱伝導が変化していることが考えられます。
ということは、密着状態の悪化している部分を評価することもできるかもしれません。
一般的に、放熱を目的に開発された高熱伝導のグラファイトシートは、高コストです。
そのため代替品として、低コストで熱伝導が高い「積層材」の開発が進められています。
最近では、いろいろな企業で開発が最終段階に進み、実用化に向けて、
熱伝導の性能評価が、開発における最重要課題となっています。
そういう背景もあって、
「積層材の熱物性評価はできないか?」
というお問い合わせをいただくケースが、最近とくに増えています。
<参考URL>
熱拡散率の均質性を分布測定で検証 ~銅CuとアルミニウムAl~
http://blog.thermal-measurement.info/archives/52001242.html
熱物性測定で、材料の内部構造を可視化する!?
http://blog.thermal-measurement.info/archives/52010875.html
☑ 積層材の熱物性評価で困っている。
☑ 積層材の均質性を確認したい。
という方は、わたくし「カトちゃん」まで、お気軽にご相談ください。
(著:カトちゃん)
お問い合わせフォーム
http://www.bethel-thermal.jp/contact/index.html