こんにちは。
ハドソン研究所のメカニック担当のテツです。

今回は、『熱物性測定で、材料の内部構造を可視化する!?』ということで、
欠陥を模擬した試料の、熱物性の測定事例をご紹介します。

熱物性測定をする試料は、SUS304。
熱物性測定に使用した装置は、当社のサーモウェーブアナライザTA3です。

試料は、わざと欠陥(クラック)を作り出した試験片です。
欠陥は部分的で、欠陥部分と正常部分からなります。

SUS-1


下記の赤い領域が、内部に欠陥(クラック)があると予想される部分。

SUS-2


さて、このように構造的欠陥がある試料の熱物性を測定すると、どうなるのでしょうか?

まずは、測定間隔を粗めに設定して、熱物性測定をしていきます。
測定点を、
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たて 3点 × 横 8点 = 合計 24点 
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とし、厚さ方向の熱物性測定をおこないました。


SUS-3




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・・・ 測定が終了しました。

測定点ごとの熱拡散率を、3次元グラフで表すと、


SUS-42
※ グラフは、青に近いほど熱拡散率が低く、赤に近いほど熱拡散率が高いことを表しています。


欠陥のある部分(上部)が低く、正常部分が高い値になりました。
一般的なSUS304の熱拡散率の値は、4.1 × 10-6m2s-1 で、
高い部分の値と、ほぼ一致しています。

欠陥のある部分は、熱的障害が生じ、熱の伝わりが阻害されて、
熱拡散率が低くなるはずなので、結果は予想通りです。

ご依頼主に、上記結果を報告したところ、
解析との良い相関が得られたというご意見をいただき、安心しました。



その後、測定ピッチを細かくして、再測定をおこないました。
測定点は、
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たて 22点 × 横 101点 = 合計 2222点
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としました。

すると、試料内部の欠陥のようすが、大変よくわかるようになりました。
測定結果は、下図のとおり。
SUS-5
※ グラフは、青に近いほど熱拡散率が低く、赤に近いほど熱拡散率が高いことを表しています。


今回、熱物性測定に使用したサーモウェーブアナライザTA3では、
測定点の間隔を細かく設定して、より多くの点で測定することにより、
より詳細な内部構造のようすを見ることが可能です。


欠陥部分の測定値は、熱拡散率としてそのまま評価することはできませんが、
試料内部の状態の変化を、相対的に比較することができます。

試料の欠陥(ボイド・はがれ・クラックなど)や
含有物のようす(偏り・配向)を、熱的に評価することが可能です。


また、当社には欠陥評価用の装置として、
サーマルイメージングスコープTSIという装置があります。

サーモカメラを用いて、試料の一部をレーザで変調加熱することにより、
試料表面部の欠陥をイメージとして、瞬時に把握することができます。


熱物性測定だけでなく、熱的欠陥の評価など、
熱に関わるあらゆるニーズに対応できるように
熱物性の測定技術に磨きをかけていきたいと思います。


追記:
今回ご紹介した熱物性の測定事例は、依頼測定案件でしたが、
ご依頼主さまのご厚意により、ご承諾をいただいて
本ブログに掲載させていただきました。
関係各社の皆さま、ご協力ありがとうございました。


(著:テツ)


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