どうも ノグッチャンです。


今回は、『 熱拡散率測定において、黒化膜があたえる影響の検証 』 を行いました。

レーザが透過しやすい試料や信号がでにくい試料は、
熱拡散率測定をおこなう前に、試料の前準備として、
グラファイトスプレーでの黒化処理が必要になります。

黒化処理


え~・・・人の手で処理しております。

なので、均一に塗る行為が難しくなってしまいます。

これを見て、お客様からよく質問されるのが
「熱拡散率測定をする時に、黒化膜の影響はないのか??」
ということです。

今回はソレを検証していきたいと思います。

まず、熱拡散率によって
黒化膜の影響力が、どれほど違うのかを見ていきます。


用意した試料は、以下の4試料です。

--------------------------------------
  材料名      熱拡散率[×10-6m2s-1]
--------------------------------------
 銅(Cu)               117
  タンタル(Ta)           24.6
  SUS                4.05
  ホウケイ酸ガラス(Pyrex)   0.6
--------------------------------------


最初に、銅(Cu)の実験。
試料厚みは600μmです。

銅Cu-1


この銅(Cu)に、黒化処理をしていきます。


銅Cu-2


熱拡散率の測定をしてみると、銅(Cu)の熱拡散率:117×10-6m2s-1(3回平均)

見事に文献値と一致!!
まだまだ問題は無さそう。

ということで、さらに黒化。


銅Cu-3


というのを繰り返し、、、



・・・



気が遠くなりそうだ。






――――― 実験中 ―――――






何度かくり返していくうちに
だんだん熱拡散率が低くなってきました。

※1回の黒化処理で付く黒化膜の厚みは、人によって変化します。
  私の場合は、3~4回の黒化で1μm程度でした。


黒化膜が1μm~2μmのときに、熱拡散率:114×10-6m2s-1(3回平均)

黒化膜が3μm~4μmのときに、熱拡散率:108×10-6m2s-1(3回平均)

黒化膜が5μm~6μmのときに、熱拡散率:98×10-6m2s-1(3回平均)

文献値と比較すると、10%以上も低くなってしまいました。
もう限界ですね。



表にすると、こんな感じ。
----------------------------
 黒化膜厚み    熱拡散率
  [μm]    [×10-6m2s-1]
----------------------------
  1~2        114
  3~4        108
  5~6         98
----------------------------
※ 熱拡散率は3回測定した平均値。





上記結果から
銅(Cu)は、厚さの1%未満の黒化膜でも影響が出てくることが分かりました。


では、次の試料の検証を・・・

と思ったんですが、長くなってしまいましたね。
(というのは口実で、時間が無くて(苦笑))


後日、また別試料の検証を追加していきたいと思います。


ちなみに、試料の熱拡散率が低くなるほど、
熱拡散率測定における黒化膜の影響は小さくなります。



(著:ノグッチャン)



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