薄膜の厚みを評価する場合、
当社では、表面粗さ計を用い評価を行っています。

表面粗さ計を用いた場合、薄膜を成膜する基板に何らかのマスクを施し、
成膜されていない部分を作って、成膜された部分との段差を調べます。
透明な薄膜の場合光の干渉を用いて測定も可能ですが、
不透明な膜の場合は表面粗さ計を使うか断面顕微鏡で観察する方法が一般的と思います。

さて、当社の熱物性顕微鏡は、熱浸透率や熱伝導率を測定する装置ですが、
薄膜の厚みによっても測定結果が変わってきます。
単位の中に距離が入ってくるので当然といえば当然ですが・・・・

実験では、ホウ珪酸ガラス上に成膜されたMo薄膜を測定しています。
厚みは50nm~130nmの範囲で測定して測定値の変化が得られており、
数十nmの分解能で厚みの変化が評価できそうです。
空間分解能はレーザスポット径である3μmとほぼ同等と考えられ、
従来方法にはない特徴を持っています。

注意点は、薄膜の質が変化したり、
密着性が変化すると薄膜の厚み以外のパラメーターも入ってきます。
評価には注意が必要ですが、
これは、薄膜の質や密着性も評価できることの裏返しでもあります。

CD-R
詳しくは下記の文献を参照ください。
K. Hatori, H. Ohta; 28th Jpn. Symp. Thermophys. Prop. Sapporo (2007), D134

当社のサーマルマイクロスコープTM3は、
今回の記事のようにキャリブレーションを行えば薄膜の厚み評価が可能です。
薄膜の熱伝導率(100nm~)、
微小領域の熱浸透率(3μm~)の測定ができる装置です。

測定依頼は、
株式会社ベテル、下記メールアドレスまでご連絡ください。
k-hatori@bethel.co.jp